群馬県高崎市にて環境分析をはじめ工業製品や医薬品の各種受託分析業務を展開されている株式会社環境技研は、2023年9月に医薬品分析を主眼においた新研究棟を開設されました。
新研究棟に新規導入された機器設備とケミカルハザードルームを設置した高薬理活性物質の試験エリアについて、また今回ご採用いただいたヤマト科学製品についてお伺いしました。
【2024年4月】
株式会社環境技研
取締役 湯澤 厚二 様
群馬県高崎市にて環境分析をはじめ工業製品や医薬品の各種受託分析業務を展開されている株式会社環境技研は、2023年9月に医薬品分析を主眼においた新研究棟を開設されました。
新研究棟に新規導入された機器設備とケミカルハザードルームを設置した高薬理活性物質の試験エリアについて、また今回ご採用いただいたヤマト科学製品についてお伺いしました。
【2024年4月】
株式会社環境技研
取締役 湯澤 厚二 様
9年程前から医薬関係の受託事業を開始して以来、順調に拡大できており、既存の3号棟で対応しておりましたが、次第に手狭になり、拡張する必要がありました。また、お客様から高薬理活性関係の試料を取り扱うことができる試験室を設けてほしいという声もあり、新たに新研究棟として4号棟を建設するに至りました。
4号棟を建設するにあたり、高薬理活性関係に対応できるケミカルハザードルームを配置することで、抗がん剤や注射剤などカテゴリー4レベル(注1)の高薬理活性医薬品の分析・測定も試験できるようになりました。
(注1) 高薬理活性医薬品の許容できる曝露レベルの管理区分。
今回、建屋建設の中で、ケミカルハザードルームの施工はヤマト科学にお願いしました。当初の計画よりだいぶ大きなエリアを要して、高薬理関係の業務拡大に対応して参ります。実施計画にあたり、高薬理関係の扱うサンプルによって部屋を使い分ける必要があるという意見が上がりました。部屋を3つに区切り、それぞれ陰圧レベルを変えて、サンプルの危険度(リスク)に応じた作業者への曝露防止、ならびに封じ込め対策をすることにしました。 例えば、試験で原末を秤量したり調整したりするエリア(高陰圧レベルA室)。その後、調整し溶液化して試験するエリア(中陰圧レベルB室)。調液が必要な液剤関係の試験エリア(低陰圧レベルC室)というリスクに応じ3段階に区分けした運用にしています。
ヤマト科学株式会社
研究施設カンパニー 営業推進部
中沢 愛子
高陰圧レベルA室
秤量用に専用設計されたエンクロージャーST1、多目的で使用が可能なナノエンクロージャーNE1を一次バリア対策として設置いたしました。この内、ナノエンクロージャーNE1と連結したヒュームフードには、真空乾燥器を内蔵し、乾燥原料の曝露防止目的での仕様となります。本製品は機器と設備品の両方を開発/製造している当社ならではのオリジナリティーの高いカスタム製品で、作業者の使い勝手と高い安全性を両立した提案となります。
中陰圧レベルB室
乾式(粉末状)で測定が必要な粒度分布測定装置専用のナノエンクロージャーは、粒度分布測定装置の操作性を考慮した設計にしました。その他、3台連結の仕様にて、水分計、天秤、FT-IR専用のナノエンクロージャーNE1を設置しましたので、各作業を封じ込めの中で連続工程として行うことができます。
非常に気に入っています。毎回使用するたびに前面サッシを手で開け閉めをせずに済むというのがとても便利です。風量可変システム(VAV)を搭載しているので、前面サッシが閉まることにより排気量を抑え、それと同時に給気も連動して空調負荷を必要最小限に抑えることが出来ています。
これまで他社の製品を使用していましたが、今後既存のエバポレーターを更新するときは切り替えても良いかなと思います。中でも真空コントローラの運転モードの一つであるオートモード(注2)機能がとても便利で、かなり気に入っています。また、冷却水循環装置に溶媒回収ユニットを組み込むことで、フード内部を広く活用できるのは非常にありがたいです。
(注2)圧力設定値の不明な溶媒に対し減圧変化を検知して、突沸を抑制する為の勾配運転の開始圧力、勾配運転時間、最終的な安定圧力を全て自動計算して運転します。
ヤマト科学株式会社
前橋営業所
相葉 亮
新型ロータリーエバポレーターは真空コントローラが一体化しており、操作性が向上し、設置スペースを最小限に抑えることができます。また、真空コントローラに搭載のオートモードはサンプルをセットしたらボタン1つで蒸留をスタートできます。従来のような溶媒データも必要なく、単溶媒/混合溶媒も安定した蒸留運転が可能です。
今回のご提案では、エバポレーターへの冷却水循環と同時に、減圧ポンプの排気ベーパーを回収する二次溶媒回収トラップを水槽内に設置する形をご採用いただきました。溶媒回収装置をヒュームフード上に置く必要がないので、貴重な実験スペースを広く確保いただける点をご評価いただきました。
木製の実験台の引き出しのソフトクローザー機構は良いですね。指を挟む心配も少なくなりましたし、最後まで閉める必要もなくバタンという音もない。スチール製の実験台には引き出しが勝手に飛び出さないようにラッチ機構がついているのも地震対策として良いと思います。分析用実験台は高さが低く、耐荷重が350㎏程度のものが好ましいと思っているので、今後は様々なラインアップを紹介してほしいです。特にHPLCは背が高い装置なので、分析用実験台は通常より低く、ポンプの収納も兼ね備えた仕様であると嬉しいです。
計画の早い段階から建築業者との打合せに参加していただき、他の業者さんとのやりとりもうまく対応していただき満足しています。今回は地元の建築業社に施工を依頼しましたが、研究業務を専門に対応しているわけではないため、ヤマト科学のような理化学機器・実験什器の知識が豊富なご担当者の方が対応していただくことで、施工主の負担が軽減出来とてもありがたいです。細かいユーティリティの取り合いなどにも気を配っていただけたことで満足な仕上がりになりました。
ヤマト科学株式会社
研究施設カンパニー ソリューション営業部
大川 和俊
設計段階からメーカーヤマト科学をパートナーとしてご選定頂きました。施主様、建築業者様、ヤマト科学一体となり、打合せを進めさせて頂けたおかげで、建屋壁と実験台との隙間が出ないようになど細かい調整が出来たと思います。また、ケミカルハザード以外のラボの空調システム構築においても、各部屋の要求仕様に対する設計、既存棟とのエアバランス調整などもメーカーヤマト科学ならではの細かい部分までご対応出来たと考えております。
環境分析など受託分析業務は今後も拡大傾向にあると思います。今後は働き手が少なくなってくる中でアウトソーシングの需要が高まることが予想されるので、今回の設備投資は必要な計画でした。今後も技術面と合わせて必要な設備を整えてニーズに対応していくべきと考えておりますので、継続してお力添えいただけますようお願い致します。
環境分析から事業領域を拡大し、高薬理活性医薬品の分析ニーズにお応えできるようになりました。 ― ...
ひとつでも多くのイノベーションを生み出す場所へ ― 新研究開発拠点の計画内容についておしえてくだ...
中央実験台は棚高さ可変加工により、分析機器の高さに合わせてスペースを有効活用できます。 納...
北陸・福井から全国へイノベーションを生み出すNIC 「NICCAイノベーションセンター(NIC)」は、...
デザイナーが果たす役割とは素直に製品と向かい合うこと 「ヒュームフード」という実験設備のお...
100人定員のセミナー会場に160人が詰めかけた 森川 2017年9月に幕張メッセで開催された分析・科...
ご要望に応じたケミカルハザードルームを設計施工いたしました
ヤマト科学株式会社
研究施設カンパニー 営業推進部
秋山 日出男
高薬理活性物質の曝露防止対策として、ケミカルハザードルーム(二次バリア)は-10Pa~-30Paで室圧コントロールされた異なった陰圧度の3室で構成しました。ケミカルハザードルームは陰圧環境の維持とハザード物質の封じ込める必要があるため、建屋全体空調と分離した個別空調システムを構築し、タッチアップディスプレイにて温湿度、陰圧度の確認制御が容易な設計提案をいたしました。また、温湿度制御システムに関していくつかのプランをご提案し、お客様にとって最適なプランをご提供出来たと考えております。