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Q&A

白色干渉顕微鏡の観察・評価例

更新日:2022年10月25日

材料・コンバーティングの様々な観察例

材料・コンバーティングの様々な観察例

材料・コンバーティング業界で多く取り扱われる紙製品や樹脂製品は、求められる機能を満たすため様々な工夫がなされています。そのため、表面形状および表面粗さ計測は、品質管理上重要な役割を担っています。また、積層フィルムなどにおいて不具合が生じた際、表面・界面または層内のどの箇所に問題が発生しているか究明する必要があり、試料によっては非破壊での計測が求められることも多くあります。
ここでは、材料・コンバーティング業界におけるナノ3D光干渉計測システムVS1800による様々な測定事例をご紹介いたします。


光学フィルム

測定事例1:ディスプレイ用フィルム

ディスプレイ用フィルム表面には反射防止や指紋による汚染防止といった機能性を保持するため様々な工夫が施されています。VS1800では、平滑なフィルム表面だけでなくマット調フィルムの表面のような凹凸の大きいサンプルも再現よく計測できます。

測定事例2:粒子コーティングフィルム

表面の防眩性改善や他表面との密着性をコントロールする目的などに用いられる粒子フィラーはその形状・サイズ・密集度などの計測が不可欠です。VS1800では、形状を捉えるだけでなく、サイズ・個数などを解析する機能を用いた評価が可能です。


包装フィルム

包装フィルムでは、バリア性など機能を持った材料層を積層することで、内包物が劣化しないよう工夫を施しています。そのため、その材料層が機能を発現できる膜厚であるかどうかなど、各層の膜厚管理は重要です。VS1800は、表面粗さの評価だけでなく、非破壊で層内部の構造を可視化でき各層の厚みや厚みムラの評価が可能なため、包装フィルムの品質管理に有効です。


高分子材料

表面の材質に関わらず、透明体においても高い分解能での高さ計測ができるVS1800は、高分子材料のような透明薄膜段差などにおいても高精度な計測が可能です。またVS1800の層断面解析では、透明材料の多層積層時に発生するような気泡欠陥評価などを非破壊で行えるため、断面を作成せず、どの層で異常が起きているか確認することができます。


繊維質表面

VS1800は、高速・高分解能を有した「標準測定モード」と光の反射が微弱な傾斜面の計測を可能にする「高傾斜測定モード」を有しているため、光沢紙のような平滑な表面だけでなく、名刺表面のようなざらついた繊維質の表面まで、広域エリアの測定が可能です。

積層フィルムの異物・混入観察例

積層フィルムの異物・混入観察例

材料・コンバーティング業界で多く取り扱われる紙製品や樹脂製品は、求められる機能を満たすため様々な工夫がなされています。そのため、表面形状および表面粗さ計測は、品質管理上重要な役割を担っています。また、積層フィルムなどにおいて不具合が生じた際、表面・界面または層内のどの箇所に問題が発生しているか究明する必要があり、試料によっては非破壊での計測が求められることも多くあります。ここでは、材料・コンバーティング業界におけるナノ3D光干渉計測システムVS1800による様々な測定事例をご紹介いたします。

層断面解析による気泡の評価
ナノ3D光干渉計測システムVS1800による測定では、異常箇所がライン状に凹んでいることがわかり(a)、その幅や深さを計測することが可能です(b)。

さらにVS1800では非破壊で層断面解析が行えます。
層断面解析結果(c)を見てると、試料構造(e)同様に深さ方向に4本の水平ラインが確認できます。特に、中央の薄い層②の厚み分布にムラがあることがわかります。層②のムラ部分である輝点(d)は、干渉強度の変化が著しく気泡であると推定されます。

層断面解析による異物混入の評価
ナノ3D光干渉計測システムVS1800による測定では、異物混入箇所が山型に膨らんでいることが確認でき、その幅や高さを計測することが可能です。(b)(c)

非破壊層断面解析による解析結果(c)からは層②の厚み分布にムラがあり、表面の凸異常部を中心に大きく膨らんでいることが分かります。
さらに膨らみが見られる箇所の層②と層③の界面では、干渉が途切れている領域が確認できます。この干渉の途切れから、混入した異物が光を遮っていることが推測されます。

メッキの観察例

メッキの観察例

各種電子部品の微細化にともない、めっきはますます薄膜化しています。その品質管理においては、より正確・精密が分析手法が求められています。
走査型プローブ顕微鏡は、高いZ分解能を特徴とする一方で、観察範囲が狭く制限されます。また、一般的な光学観察装置では、より広い視野範囲の観察が行えますが、Z分解能は低下します。
ナノ3D光干渉計測システムVS1800は面内方向の広い観察視野と高さ方向の高い分解能を併せ持つことから、メッキ配線のように大きな段差パターンとその表面の粗さ計測の両方を簡便に行うことができます。

メッキ表面は用途や目的によって表面処理を施す場合があり、その表面の一般的な観察手法として、SEM観察があげられます。
SEM像により表面性状の違いを明瞭に可視化することが可能ですが、一般的なSEMで得られる情報は2次元のため、立体的な特長を高精度に計測することは難しいです。
図はNiメッキ表面に粗化処理を施したサンプルについて、FlexSEM 1000(SEM)およびAFM5500M(AFM)、VS1800(ナノ3D光干渉計測システム・CSI)にて観察、計測を行った結果を示しています。
FlexSEM 1000/AFM5500Mの観察・計測結果を見比べると、SEM観察で得られた形状がAFM計測結果においても捉えられていることがわかります。また、AFMとCSIの算術平均粗さSaはほぼ同等な値を示し、AFMでとらえられた微細形状がナノ3D光干渉計測システムにおいても同等に計測できることがわかります。このように高空間分解能を有するAFMを用いればCSIデータをクロスチェックすることが可能になります。ナノ3D光干渉計測システムは、高速計測という特長を生かして、多数サンプルにおける評価のスループット向上が期待でき、更にここで記載したように、SEMやAFMを加えた観察、計測を通じて多角的な評価を行うことができます。

トライボロジー評価の例

トライボロジー評価の例

自動車の燃費向上や工作機械などの省エネルギー化にとって、重要な要素となっているのが部品の低摩擦、低摩耗、表面損傷の低減です。こういった各種部品への低摩耗ニーズの実現には、より正確・精密なトライボロジー評価が求められています。ナノ3D光干渉計測システムVS1800は、ワンショットで広いエリアにおけるナノメートルオーダーの粗さ計測が可能です。トライボロジー評価においては、3次元計測結果から負荷曲線解析を行うことにより摩耗量(面積および体積)を算出することができるため、定量的な評価が可能になります。
ここでは、金属の摺動試験に新油および劣化油を使用した結果をご紹介します。
図1、2は、新油および劣化油を使用した際の摺動痕の形状を計測した結果です。各々、摺動部の表面形状および断面プロファイルを比較すると、劣化油使用時の摺動痕は6倍ほど深くなっており、摺動方向が明瞭にわかるスジ状に削れています。

さらに負荷曲線解析を行います。この解析では、摩耗によって削られた領域を高さの閾値により等高線画像を二値化し、その面積および体積を算出することができ、磨耗量を定量的に評価することができます。

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