製品情報
型式:MQC+
非破壊、迅速、正確、簡単操作で測定可能な次世代ベンチトップNMR
卓上型TD-NMR(時間領域、Time Domain NMR)「MQC+」は一般的な核磁気共鳴分析装置(NMR)のようなNMRスペクトルから化学構造式を定性するのではなく、緩和時間から物性を評価する装置です。永久磁石だけの磁場で十分なので冷媒を必要としません。
磁場が掛からない環境では、水素核などのスピンは様々な方向を向いていますが、磁場を掛けると、核スピンの向きは磁場方向とその反対に分かれます。そして核スピンは磁場強度に応じた周期で歳差運動します。
歳差運動の周期でエネルギーを与えると歳差運動の角度が増加することで、核スピンのX-Y 成分が増加し、Z 成分が減少します。X-Y成分の回転からのシグナルは共鳴周期(歳差運動)の信号です。このシグナルをFID(自由誘導減衰)と言います。パルス後スピンが平衡状態に戻るとシグナルは無くなります。
不均一磁場の中ではそれぞれの磁場で異なった歳差運動の周期になります。それらは混合したシグナルとして検出されます。しかし、TD-NMR ではフーリエ変換により一つのピークしか取ることが出来ませんので、上図のような時間領域シグナル(緩和時間)を使用します。
TD-NMRによって得られるFID信号の緩和時間(主に水素Hの核スピン由来)は、液体、半固体、固体の物性によって異なります。従って、この緩和時間を評価することで様々な物性や定量が可能です。
・長い緩和(緩和率が低い):液体(油脂、 スピン仕上げ潤滑剤、自由水、など)
・中間の緩和:半固体(固体のような成分):結合水、残留水分、アモルファスポリマーコンポーネント、など
・短い緩和(緩和率が高い):固体(ポリマーの微結晶成分、 サンプルのポリマー/バイオポリマーマトリックス、食品中の繊維、など)
卓上型TD-NMR「MQC+」は下記の特徴があります。
・非破壊:NMR測定はサンプルにダメージを与えないため、サンプルは繰り返し測定用に保管したり、他の測定装置を使って分析したりすることができます。
・迅速:分析にかかる時間は数秒から数分で、ラボで大量のサンプルを素早く効率的に処理することができます。
・正確:NMR信号は表面だけでなく、不透明な試料であっても試料のすべての部分から生成されるため、より正確な測定が保証されます。
・簡単操作:サンプルをチューブに移し、調整して分析するだけです。粉砕やその他の試料前処理はほとんど必要ありません。
・有害な溶剤は不要:湿式化学分析とは異なり、NMR法は溶剤を必要としないため、ヒュームキャビネット、特別な訓練を受けたスタッフ、廃棄処理手続きを必要としません。
・固体脂(SFC)含有率 ~融解プロファイル~
脂肪は製パン、製菓、マーガリン業界で生産される多くの加工食品の重要な成分であるため、これらの業界における固体脂含有量(SFC)の測定は極めて重要で、固有の広がりやすさ、固さ、口当たり、加工、安定性などの感覚的、物理的特性に影響を与えます。MQC+は、迅速かつ正確に固体脂含有量を測定します。
・粒子の濡れ性評価
バルク液体と粒子の濡れ性が高いと、その界面でのバルク液体分子は拘束されやすい状態となり、その液体分子の緩和時間は小さくなります。バルク液体分子と拘束された液体分子の緩和時間を比較することで粒子の濡れ性を評価することが出来ます。
~特徴~
・粒子界面状態や分散凝集状態を評価
・高濃度分散系でも希釈せずに原液状態にて測定可能
・分散機による適切な分散時間の推定
・粒子の濡れ性、分散媒との親和性、分散剤のスクリーニング等粉砕および研削の調査
・固体の緩和時間測定が可能
ポリマー/エラストマーの架橋密度
架橋密度は、架橋高分子の中で架橋点(架橋を起こした構造単位)の数の全体の構造単位に対する割合を表します。カーブフィッティングソフトウェアを使って、複数の成分への分離及びそれぞれの緩和時間、成分比を自動で計算することも可能です。
MQC+5 | MQC+23 | MQC+F | |
周波数 | 5 MHz | 23 MHz | 21 MHz |
観測対象 | 核1H | 核19F | |
プローブ 直径・体積 | 40 mm・40 mL 51 mm・80 mL 60 mm・100 mL | 10 mm・1 mL 18 mm・7 mL 26 mm・14 mL | 26 mm・14 mL |
アプリケーション | サンプル容量が大きいため、不均一なサンプルの再現性が良好 例:農業食品など | ・多くのアプリケーションに最適な構成 ・高い動作周波数は最高の感度を提供し、大きなサンプルサイズ(14 mL)は良好な再現性を提供 ・固形分 | フッ素定量 例:歯磨き粉、ミネラル、布地など |
型式 | MQC+ |
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