わずか数分で10万画素を超えるラマンイメージング取得可能なレーザーラマン顕微鏡

レーザーラマン顕微鏡（RAMANtouch）の特徴

製品概要

レーザーラマン顕微鏡RAMANtouchから得られるラマンスペクトルにより、物質濃度や含有量、分子の構造、さらには変形・応力などの構造変化など、様々な情報が得られます。
具体的に、ラマンスペクトルから下記の情報を得ることが出来ます。

・ スペクトル強度：化学物質の濃度・含有量、結晶方位、欠陥など
・ ピーク位置：分子・格子構造など
・ ピーク位置シフト：変形・応力/歪・温度など
・ スペクトル幅：結晶性・異方性・欠陥・ドーパント濃度など
・ 強度比：相対濃度・含有量など
・ 偏光：結晶方位、配向性

レーザーラマン顕微鏡RAMANtouchを使うことで、半導体性能の向上、電池用電極スラリーの歩留まり評価、材料の品質チェック、錠剤中の薬効成分の分布評価などが可能です。

ライン照明とレーザー走査による超高速イメージング

ラマンイメージングを取得するのに時間が掛かってしまいお困りのことはありませんか？
RAMANtouch は試料上のライン上に照射された領域から同時に400本のラマンスペクトルを検出します（ライン照明）。さらにレーザーを走査することでステージを動かさずにイメージングすることが可能です。これにより僅か数分で10万画素を超える高精細なラマンイメージングを取得することが可能です。

高速バルクスペクトル：AreaFlash

顕微ラマンでマクロ測定を行いたい時はありませんか？
RAMANtouchは露光中に高速でレーザー走査し、バルクの平均スペクトルを取り出します。また、レーザーパワーを広範囲に分散させながら短時間露光でもSNの良いスペクトルが得られるので、熱に弱い試料の測定にも適しています。また、電動ステージとAreaFlashを組み合わせることで、広範囲のスペクトルマッピング測定を高速に実現可能です。

回折限界に迫る高い空間分解能

100倍の対物レンズ使用時で回折限界に迫る350nmの空間分解能を発揮します。また、優れた共焦点光学系が1µm以下の深さ分解能を保証します。これにより高画質なラマンイメージングの取得を可能とします。

凹凸のある表面をイメージング：ZTrackイメージング

光学顕微鏡像から試料表面の高さを自動で識別し、認識した表面形状にフォーカスを合わせながら測定します。光学顕微鏡像やラマン画像を表面形状に合わせて表示し、凹凸と成分の分布の関係を確認することが出来ます。錠剤の角の部分でも対応出来ます。

非破壊で試料内部構造を三次元観察：3Dイメージング

共焦点光学系を用いて非破壊で試料内部を高速・高分解能な3次元ラマンイメージングを取得できます。立体構造を様々な角度から観察することができ、目に見えない不良箇所の特定や層の厚みムラなどを評価できます。

豊富なオプションアクセサリ

・充放電in-situラマン測定用セル「LIBcell charge」
　電極表面のin-situラマン分光分析のためのセルです。対向電極およびセパレータに開けた穴にレーザーを通して、向かいの電極表面を測定します。充放電に伴って生じるガスはセル中央の観察部位から逃がし、測定への妨害を抑えることが出来ます。

・不活性雰囲気ラマン測定用密閉容器「LIBcell」
　腐食に強いステンレス製で、窓材は厚さ1mmの石英で構成されています。ふたを重ねて3カ所の蝶ネジを締めるだけで、密閉状態を維持し、自由のきかないグローブボックス内の作業にも配慮された設計になっています。不活性雰囲気を手軽に安定的に維持しながら、試料のラマン分光測定が可能です。

・Z偏光素子「ZPol」
　光の伝搬方向に振動する光「Z 偏光」を作りだすことで、結晶や分子の配向の 3 次元測定に威力を発揮します。

・レーザースペックルキラー「SK-11」
　レーザー光で物体を照明するとスペックルノイズと呼ばれる斑点模様が現れてしまいます。これはレーザー光がコヒーレントであるために生じる独特の現象で、従来避けられないものとされていました。SK-11 を使えばこのノイズを軽減することが出来ます。

メンテナンスフリーの高安定システム＆優れた操作性

専用のオペレータがラマン分光装置を使用するたびに光軸調整をしなくてはならずに面倒なことはありませんか？
RAMANtouch は光軸のずれが起きうる要因を排除した光学設計となっていますので、日々の光軸調整が不要です。また顕微鏡と同じ感覚で使用出来ますので、専用オペレータが不要で誰でも簡単に使用できます。

アプリケーションデータ

・SiCウエハの残留応力評価
　顕微鏡画像で黒ずんで見える欠陥部には引張応力が生じ、その周囲では圧縮応力が生じていることが分かります。侵入長が浅い紫外レーザーを使い、試料の再表面の応力分析やPL（フォトルミネッセンス）分析も可能です。

・埋没異物の非破壊分析
　透明なフィルム中の埋没異物を断層ラマンイメージングして、異物の埋没位置とサイズを可視化しました。異物部とポリエチレンの差スペクトルをライブラリーサーチした結果、異物は方珪石であることが分かりました。

・製剤中の結晶多形
　初期の錠剤と6か月の加速試験後の錠剤のそれぞれの表面を10倍対物レンズで分析した結果です。加速試験後の原薬（赤）の一部が転移していることが分かります。50倍対物レンズで観察すると、原薬粒子（緑）の周囲から転移が進んでいることが分かります。

・黒鉛負極のin-situ分析
　黒鉛負極をin-situラマンイメージングの結果です。放電状態では、黒鉛の粒子内で細かな欠陥（緑）が点在してることが確認できます。充電を進めていくと、Disulute stage 1、Stage 4、Stage 2、Stage 1とそれぞれの分布が確認出来ます。また、放電状態で観察された欠陥部分では、充電反応が進んでいないことも分かります。ラマンイメージング分析によって、各種活物質の充電状態の空間分布を把握できます。