Q&A
給排気システムとは?
排気システム
単独排気、集中排気のいずれも、前面制御風速、熱負荷等に適した排気風量、ダクト径を選定することで安全に使用頂けます。
■ヒュームフードの排気
ヒュームフードの排気システムは、ヒュームフードの制御風速、排気風量を満足しなければなりません。排気システムは各ヒュームフード、排気ダクト、排風機、排出口からなり、また必要に応じて風量制御、風量表示、防火ダンパ、排気フィルタ、排ガス処理装置等を設けます。
■排風機の選定
ヒュームフードを安全に使用するためには排気設計が重要です。その中で排風機の選定には特に注意が必要です。
選定手順
- 1. ヒュームフードの型式を決定
- 2. ヒュームフード開口部の制御風速を決定
- 3. 以上より排気風量を求める
排気システムの計画では騒音への配慮も、実験室快適化へのポイントです。
●排風機の能力はヒュームフードの排気量、台数、及びダクト系圧力損失に応じた仕様とします。ヒュームフード系統の排風機は、排ガス処理装置などを設置することも多く、必要静圧が高くなり発生騒音も大きくなります。その場合必要静圧が許す範囲で排風機を大型化し、低騒音化のために回転数を下げるようにします。
●排風機は、耐蝕、防水等の用途に応じたものを採用。塩ビ製、FRP製がよく用いられます。
●修理、洗浄、保守点検のため、排風機の周辺に必要なスペースを確保してください。
- 4. 平面図、正面図等の図面上で配管系統を検討し、ファンの設置を決める
- 5. ダクト内風速よりダクト径を決定
- 6. 以上よりダクト配管の系統図を作成し、圧力損失計算を行う
- 7. これより排風機のP-Q曲線(静圧-風量)より排風機を決定
排風機性能曲線(P-Q曲線)
ダクトの設計は圧力損失を低く抑え、ダクトの長さを極力、短く設計することが重要です。
排気ダクトは耐腐蝕性で内面の平滑な材料で製作するものとし、圧力損失を極力小さくします。
●ダクト内風速は、圧力損失を低く抑えるためには7m/s以下が望ましいです。
●ダクト材質は不燃性の考慮も必要。防火区画の貫通等においては、法に適合する処理を行うことが必要です。
●ダンパ、VAV等の材質も排気ダクトに準ずるものとします。
ヒュームフードの使用台数増加で集中排気方式が採用されています。
実験内容別に排気系統分けし、ダクト内の混触反応を防ぐことが必要です。
集中排気は火災通路を作る危険もあり防火ダンパの設置の検討が必要です。
1台の排風機での排気計画はメンテナンスとバックアップの排風機の設置等も検討に加えます。
実験内容の変更、設備の変更など先を見越した柔軟性ある計画、ダクト系統の設計が必要です。
空調システム
実験室の安全設計のためには適切な空気の流れと必要換気量を維持し、排気量と給気量のバランスを保つことが必要です。
■実験室への給気
ヒュームフードは、実験によって発生する有毒ガスとともに、空調された室内空気を排気します。従って、実験室の空調設備はヒュームフードの排気風量を見込んだ給排気量の設定が必要です。
■実験室の換気回数とヒュームフードの排気
実験室の環境を良好な状態に保つために換気は重要な要素ですが、その方式、システムは、実験室の種類、大きさ、使用法により異なります。実験室の換気回数は、下記のような値が用いられています。
実験室 | 回/h |
---|---|
化学実験室 | 6~20 |
有機合成実験室 | 15~18 |
有毒物実験室 | 20~30 |
RI実験室 | 15~30 |
生物実験室 | 5~10 |
医薬実験室 | 5~10 |
物理実験室 | 3~8 |
計画手順
- 1. 室内空気の汚染防止(ヒュームフードによる汚染空気の封じ込め)
- 2. 清浄空気の供給
- 3. ヒュームフードの排気量に見合った空気の供給
- 4. ヒュームフードへの交差気流の防止
- 5. 省エネルギーへの配慮
設計構想の段階から、室内空気汚染防止 と 供給空気汚染防止 の 2点を重視
使用物質の種類、量、使用方法により、危険性が認められる研究・実験はヒュームフードなどの局所排気装置内で行うことが基本です。有機溶剤はヒュームフードの制御風速、特定化学物質は制御風速と抑制濃度の規定を基に、排気風量、実験室の空調などを考慮し計画を進めます。さらに、換気によって排出される実験室内のエアバランスを保つためには供給する空気の量と流れが大切です。排気は全排気、給気は清浄な空気を全外気方式(オールフレッシュ)で取り入れることが基本です。
レイアウトのポイントは空気流をつかむこと
空気はすべてヒュームフードへ向けて流れている状態が理想です。実験室内は、扉の開閉、吹出空気の影響、研究者の動き方などによって交差気流が起き、ヒュームフードの前面気流に影響することがあります。レイアウトの構想段階から室内の空気流の方向、強さ、不規則要因なども含めて、シミュレーション、検討を加えることが重要です。