製品情報
共焦点顕微鏡と超解像顕微鏡の融合
高速共焦点顕微鏡システムDragonflyシリーズは、レーザーによる励起光で発生する蛍光をピンホールに通過させ、目的の蛍光のみを検出する共焦点構造を採用しています。従来の落射蛍光方式とは異なり、細胞や生物組織などの蛍光イメージングを高速、高感度、高解像度で測定出来ますので、また、共焦点なので厚みがあるサンプルの撮影に適しています。
Dragonflyシリーズは、sCMOSおよびEMCCDの2台の検出器を搭載可能です。iXon EMCCD検出器は、微弱な信号に対して1ピクセルあたり1.9フォトンという高いS/N比を実現しています。最新世代のsCMOS検出器(Sona sCMOS、ZL41 Cell sCMOS)は、感度と速度のバランスが優れ、量子効率は最大95%、全視野で44fps(持続)を超える速度が得られます。
一般的な共焦点顕微鏡はシングルポイントスキャン方式を採用していますが、測定に時間が掛かります。高速共焦点顕微鏡システムDragonflyシリーズはマイクロレンズ付デュアルスピニングディスクを採用しており、複数のピンホールをもつ円盤によって、多点で同時にスキャンするため、高速測定が可能です。
マウス受精卵の初期発生過程
受精直後にAndor Dragonflyで撮影しました。その後、初期発生の様子を24時間にわたり15分ごとに撮影しました。各時間点で、1チャンネルあたり50スタックを取得しました。黄色は微小管、シアンはDNAを示しています。
一般的に、マイクロアレイレンズのついたスピニングディスク共焦点顕微鏡は、下の左図のように、中心部分の光量は高くなり、周辺の光量は顕著に低くなる傾向があります。DragonflyシリーズではBorealis照明という光学系を採用しており、これにより下の右図のように照明の均一性が向上します。
左図:一般的なスピニングディスク照明、右図:Borealis均一照明
Borealis均一照明は、下の左や真ん中の図のような画像の端で見られることが多い照明強度の低下を回避し、複数のタイル状またはモンタージュ画像におけるスティッチングをシームレスに行えます。また、フラットな均一照明は適切なイメージングの定量化においても重要で、スループットと均一性の両方が2~3倍向上します。
左:マイクロレンズディスク、真ん中:フィールドレンズ付きマイクロレンズ、右:Borealis均一照明によるフィールドレンズ付きマイクロレンズ
Borealis®全反射照明蛍光顕微鏡(B-TIRF)は、アンドール独自のTIRFモジュールです。
B-TIRFは、従来のTIRFに比べ30%以上高い均一性を保ち、マルチモード照明により、TIRFでしばしば観察されるアーティファクト(干渉やストリーキングなど)を回避することができます。また、横方向解像度が10nm、軸方向解像度が30nmの優れた画像品質で撮影することが可能で、1分子イメージングにおけるS/N比を向上させるのに最適です。
下記のようなケースに適用可能です。
左:一般的なTIRF 右:B-TIRF
左の一般的なTIRFは光学的なコンタミネーションに対して敏感であり、その結果、干渉縞や不均一な照明が発生します。右のB-TIRF画像は、同じ試料をB-TIRFで撮影したもので、試料内の蛍光の真の分布を反映した高品質な画像を得ることが可能です。
Dragonfly 600は、1分子局在顕微鏡に必要なすべてのツールを備えており、ナノメートルの局在精度と10nmまでの対応する解像度で画像を提供します。また、3D超解像モジュールにより、広視野、TIRF、共焦点など、すべてのイメージングモダリティに対応した1分子局在顕微鏡(SMLM)が可能です。3D超解像モジュールによる単一平面画像は、~1μmの範囲の軸方向の情報を提供し、対応する解像度は30nmまでです。広視野での3D超解像モジュールにより、軸方向のSMLMデータを収集することができます。また、B-TIRFとの組み合わせにより、カバーガラス近傍の超解像データのS/N比を向上させることができます。3D超解像モジュールと共焦点スピニングディスクを組み合わせ、光学切片の連続取得により厚い試料(~10μmレンジ)においても超解像を得ることが可能になります。
左:クロススケールイメージングが可能です。a) 核膜孔をNUP96(核膜孔タンパク質)で一過性に標識した3つの細胞核の画像。b) 同じデータセットをa)の白いハイライト部分で拡大し、20nm以下のDNA-PAINT分解能で表示したもの。核膜孔複合体8重の対称性が明らかになりました。右:DNAオリガミの3×4グリッド、Cy3B蛍光体の距離は20nm、同様のB-TIRFプロトコルで撮像した結果、解像度が10nm以下に向上していることが分かります。
マルチモードファイバーを搭載した統合型(Versatile Laser Engine、VLE) 、高出力(High Power Laser Engine、HLE)からレーザー照射を選択出来ます。マルチモードファイバーは、シングルモードファイバーよりも長波長側をサポートしながら伝送することができます。VLEとHLEは、精密に制御された穏やかな照明を提供するため、デリケートなサンプルのライブセルイメージングに適しています。
HLEは特に、下記のようなケースに最適です。
アップグレードでSRRF-Stream+を搭載することにより、回折限界を超えた約140nmまでの超解像撮影を実現します。
サンプル:ウシ肺動脈内皮細胞 左図:一般的な共焦点 右図:超解像
PAE細胞
アクチンを紫、ミトコンドリアをシアン、DNAをピンクで示しています。
受精後2日目のゼブラフィッシュ
黄色はアクチン(筋線維に非常に豊富)、シアンは細胞核を示す。
Dragonfly 200 | Dragonfly 400 | Dragonfly 600 | |
基本イメージングモード | 共焦点、超解像、落射蛍光 | ||
単分子局在顕微鏡法 (SMLM) | × | × | 〇 |
B-TIRF | × | × | オプション |
レーザーエンジン | VLE | HLE | VLE/HLE |
3D超解像モジュール | × | オプション | オプション |
カメラ数 | 2まで | ||
ピンホール径2種類(25μm、40μm) | オプション | オプション | 〇 |